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節分は、季節と体の「境目」を守る行事

身近な理科

2月3日、節分。
豆をまいて「鬼は外、福は内」。

今では子供向けの行事として残っている地域の方が多そうですが、
節分はもともと、季節の変わり目に起こりやすい“乱れ”から、暮らしと体を守るための行事でした。

節分は「季節を分ける日」

昔は
立春・立夏・立秋・立冬
それぞれの前日を全て節分と呼んでいました。

今、2月の節分だけが残っているのは、
立春が一年の始まりとして、特別に意識されてきたから。

立春は、いちばん不安定な時期

暦の上では春でも、実際はまだ寒いですよね。
・寒暖差が大きい
・体調を崩しやすい
・病気の原因が見えにくい

昔の人たちは、これらの原因を科学的に知る事はできず
この「よくわからない不調」は、すべて「外からやってくる」ものでした。

豆をまくのは、生命をまくこと

節分で使う豆は、大豆。

豆は植物にとって、
次の世代を生み出すためのエネルギーのかたまり。

デンプン、タンパク質、脂質。
発芽に必要なものがすべて詰まっています。

「鬼」を追い払い、
同時に「これから始まる季節に、生命をまく」。

節分は、そういう行事でした。

そして、柊とイワシ

節分といえば、もう一つ。

柊の枝に焼いたイワシの頭を刺して、玄関に飾る。

これも迷信ではなく、
当時の生活感覚に根ざした非常に合理的な組み合わせ。

柊の役割:物理的な「嫌」

柊の葉は、硬くてとがっています。

触ると痛い。目に入ると危ない。

つまり柊は、
近づきたくない形をしている植物。

イワシの役割:化学的な「嫌」

イワシは青魚で、脂が多い。
その脂は熱と酸素に弱く、焼くと急激に酸化して、強いにおいを放つ。

このにおいの正体は、
・アルデヒド
・ケトン
・低級脂肪酸
といった脂肪が分解してできる揮発性の化学物質です。
美味しそうと感じる一方で、鼻につく刺激臭…、場合によっては生臭さも…。

昔の人は、
このにおいを「不浄」「近寄りたくないもの」と感じていました。

柊 × イワシ=最強の結界

・触ると痛い
・においが強い

この二つを組み合わせたのが、
柊イワシ。

特別な道具も、特別な材料もいらない。
冬の終わりの家に、すぐ用意できる。

節分は、
家の中に入れるものと、入れないものを決める日でもあった。

節分は、季節と体を切り替えるスイッチ

節分は、
・鬼を追い出す
・豆をまく
ことばかりが目的ではなく、
冬から春へ、暮らしと体・心を切り替える日。

季節の変わり目に、人が自分の体と暮らしを守るために生まれた、
知恵の集合体です。

豆をまく音。柊のとげ。イワシのにおい。
それらはすべて、
春を迎える準備が始まったという、静かな合図だったのです。

はてなたね
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